- 「エルメスってどんなブランドなの?そもそも何が違うの?」
- 「エルメスでラインやモデルとか聞いたことがあるけどわからない!」
- 「エルメスのブランド戦略と強みとは?」
エルメスについてこうした疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。本記事では、エルメスの概要、歴史、代表的な作品とコンセプト、ブランド戦略など全体概要についてご紹介しています。エルメスの知識について参考になれば幸いです。
エルメスとは
エルメスは、1837年にティエリ・エルメスがパリで創業したフランス発祥のラグジュアリーブランドです。馬具工房を出発点に、最高品質のレザーと卓越した職人技を磨き続け、シャネルやルイ・ヴィトンと並ぶ世界三大ブランドの一つに数えられています。
エルメスの主な特徴は以下のとおりです。
- 歴史とルーツ:馬具工房から世界的ブランドへ
- ロゴに込められた意味
- 代表的なアイコンアイテム
- 変わらぬクラフトマンシップ

歴史とルーツ:馬具工房から世界的ブランドへ
エルメスは馬具工房として創業して以来、時代の変化に柔軟に対応しながら事業領域を広げ、世界的なラグジュアリーブランドへと発展してきました。その歩みを支えてきたのは、創業当時から受け継がれる卓越した職人技です。
エルメスの歴史の主なポイントは、以下の4つです。
- 馬具工房としての誕生 1837年〜
- 自動車時代の到来と皮革製品への転換 20世紀初頭〜
- 世界的ブランドへの飛躍 1920年代〜
- 現代に息づく馬具職人の魂
馬具工房としての誕生 1837年〜
エルメスの歴史は、1837年にティエリ・エルメスがパリで開いた馬具工房から始まります。馬に負担をかけない上質な馬具はナポレオン3世やロシア皇帝などの王侯貴族に愛され、1867年のパリ万博では銀賞を受けるなど早くから高く評価されています。
1880年前後には、現在も本店を構えるフォーブル・サントノーレ通り24番地へ移転し、小売も手がけるようになりました。馬具づくりで培った技術と信頼が、後のメゾン発展の礎となっています。
自動車時代の到来と皮革製品への転換 20世紀初頭〜
エルメスが皮革製品へと本格的に軸足を移したのは、自動車が普及し始めた20世紀初頭のことです。その原点は古く、すでに1892年には鞍を収める「サック・オータクロア」が誕生していました。これが後のバーキンやケリーへと続く原点とされます。
馬具需要の減少を見越した3代目エミール=モーリス・エルメスは、フランスでファスナー(ジッパー)の使用権を取得し、いち早く製品へ採用しました。
世界的ブランドへの飛躍 1920年代〜
1920年代以降のエルメスは、バッグにとどまらず時計やジュエリー、ウェアへと製品の幅を大きく広げていきました。1937年にはブランドの代名詞となるシルクスカーフ「カレ」が誕生し、ライフスタイル全般を彩るメゾンへと飛躍します。
背景には培ってきた皮革技術を、移動の快適さという実用性と結びつける発想があったとされています。旅行用品から日常を彩る品まで、独自の世界観は時代とともに着実に広がっていきました。
現代に息づく馬具職人の魂
エルメスのロゴに馬車と従者が描かれているのは、ブランドのルーツが馬具工房にあることの証です。世界的なファッションメゾンとなった現在も、職人が鞍などの馬具を一点ずつ手作業で仕立てる部門が大切に受け継がれています。
馬具製作で磨かれた手縫いや裁断などの確かな技術は、現在のバッグや小物づくりにもそのまま生かされています。ルーツを守り続ける姿勢こそが、エルメスらしい品質を支える核になっていると言えるでしょう。

ロゴに込められた意味
エルメスのロゴは、四輪馬車「デュック」と従者「タイガー」を描いた意匠です。19世紀の画家アルフレッド・ド・ドルーの絵をもとに図案化され、1945年に商標として登録されています。馬具工房を原点とするブランドの歩みを象徴するデザインです。
主人(御者)が描かれていないのは、主役はあくまで使い手であるお客様だという哲学の表れとされます。馬車は最高品質、従者は職人を表し、製品は顧客の手に渡って真価を発揮すると考えられています。
代表的なアイコンアイテム
エルメスは、各分野を象徴するアイコンアイテムを数多く生み出してきました。バッグやジュエリー、スカーフ、時計、シューズと、その領域は多岐にわたります。馬具づくりに由来する機能美と、流行に左右されない普遍的なデザインを兼ね備えている点が特徴です。
エルメスを代表する主なアイテムは、以下のとおりです。
- バーキン(Birkin)
- ケリー(Kelly)
- ボリード(Bolide)
- ピコタン(Picotin)
- シェーヌ・ダンクル(Chaine d’Ancre)
- ポップH(Pop H)
- カレ(スカーフ)
- Hウォッチ
- オラン(Oran)
- モカシン パリ(Paris)
バーキン(Birkin)
バーキンは、1984年に誕生したエルメスを代表するバッグです。当時の会長ジャン=ルイ・デュマは、機内で隣り合った女優ジェーン・バーキンから使いやすい大きなバッグがほしいと聞き、その要望をかたちにしました。
高い収納力と実用性を備え、職人が一点ずつ手作業で仕立てる希少性の高さも魅力です。現在はエルメスの最高峰バッグとされ、高い資産価値を保ち続けています。
ケリー(Kelly)
ケリーは台形のフォルムと気品のあるデザインが特徴のエルメスを代表するバッグです。前身は1892年のオータクロアを婦人用に仕立て直したハンドバッグにさかのぼります。
1956年、モナコ公妃グレース・ケリーが妊娠中のお腹を隠した姿が報じられ、本人にちなんで改名されたと伝えられています。バーキンと並ぶ2大バッグとして、世代を問わず支持を集めています。
ボリード(Bolide)
エルメスのボリードは、世界ではじめてファスナーを採用したバッグといわれています。1923年の登場時、自動車での移動中に中身が飛び出すのを防ぐ目的でファスナーが取り入れられ、のちに高級車にちなんでその名が付けられました。
ボリードは丸みのあるフォルムと、正面にあしらわれた楕円形のマカロンが特徴です。機能美と均整のとれた美しさから、現在もバーキンやケリーに次ぐ人気を誇っています。
ピコタン(Picotin)
ピコタンは、普段使いしやすいカジュアルさで人気を集めるエルメスのバッグです。2003年に登場し、その名は中世フランスで馬の飼料を量る単位「ピコタン」に由来しています。デザインは馬の飼い葉入れに着想を得ており、ブランドのルーツを映した一品です。
高い収納力と比較的手に取りやすい価格が特徴で、現在は南京錠(カデナ)を備えた「ピコタンロック」が主流となっています。
シェーヌ・ダンクル(Chaine d’Ancre)
シェーヌ・ダンクルは、1938年に誕生したエルメスのシルバージュエリーを代表するアイコンです。デザインを手がけたのはエルメス家の一員ロベール・デュマで、港で見た船の錨(いかり)の鎖から着想を得たと伝えられています。
力強さと優雅さを併せ持つ独特のフォルムが魅力で、性別や世代を問わず幅広い層に支持されています。当初のブレスレットからネックレスやリングへと展開が広がり、今も高い人気を誇るシリーズです。
ポップH(Pop H)
ポップHは、エルメスの頭文字「H」をモチーフにした、丸みのあるフォルムが愛らしいアクセサリーです。ペンダントやピアスとして展開され、日常から特別な装いまで幅広く取り入れられています。
イエローゴールドやピンクゴールド、シルバーなど、カラーバリエーションが豊富なのもポイントです。比較的手に取りやすい価格帯から、エルメス入門の一品として幅広い世代に親しまれています。

カレ(スカーフ)
カレは、エルメスを象徴するシルクスカーフです。1937年にロベール・デュマが手がけたメゾン初のスカーフで、これまでに1500を超えるデザインが生み出されてきました。シルク100%の生地に、数十回もの製版と染色を重ねた繊細で緻密なプリントが特徴です。
額装して飾られるほどの芸術性を備え、身に着けるアート作品とも称されています。
Hウォッチ
Hウォッチは、1996年に発表されたエルメスを代表する腕時計です。ケースにブランドの頭文字「H」をかたどったデザインを採用し、一目でエルメスとわかるアイコンウォッチとして親しまれています。
鞍づくりで培われた技術を生かしたレザーストラップに加え、文字盤やサイズのバリエーションも豊富です。シンプルでありながら存在感のあるデザインは、世代を問わず幅広く支持されています。
オラン(Oran)
オランは、甲の部分に「H」のカットアウトを施したエルメスを象徴するフラットサンダルです。シンプルながら存在感のある洗練されたデザインと、上質なレザーの質感と端正なフォルムが、足元に格上の印象を与える点が特徴です。
装いを選ばず合わせやすく、リゾートから街歩きまで幅広いシーンで活躍します。夏の定番として世界的に親しまれている、エルメスらしさを気軽に楽しめるサンダルです。
モカシン パリ(Paris)
モカシン パリは、エルメスを代表するレザーローファーです。甲にはブランドの頭文字「H」をモチーフにしたメタルパーツをあしらい、端正なシルエットと上品なデザインが特徴です。フォーマルからカジュアルまで幅広い装いになじみます。
朝から夜までさまざまなシーンで活躍し、足元に洗練された印象を添えてくれます。流行に左右されないタイムレスなデザインと上質なレザーの魅力から、長く愛用できる一足として支持されています。
変わらぬクラフトマンシップ
エルメスのものづくりは、創業以来受け継がれてきた職人技を核に発展してきました。一人の職人が一つの製品を仕立てる体制や、馬具づくりに由来する機能性、最高級の素材へのこだわりが、その品質を支えています。
エルメスのクラフトマンシップを支える要素は、以下のとおりです。
- 一人の職人による一貫製作(一人一品)
- 馬具工房にルーツを持つ機能性と耐久性
- 素材への徹底したこだわり
一人の職人による一貫製作(一人一品)
エルメスのバッグづくりを象徴するのが、裁断から仕上げまでを一人の職人が担う「一人一品」の製作体制です。手縫いには、馬具づくりに由来する「サドルステッチ」が用いられており、片方の糸が切れても縫い目がほつれにくい高い耐久性を備えているのが特徴です。
バッグ一つを完成させるまでには、十数時間から二十数時間ほどを要します。完成した製品には、製作した工房や職人を識別するための刻印が施され、品質管理や修理にも役立てられています。
馬具工房にルーツを持つ機能性と耐久性
エルメスの製品が高い機能性と耐久性を備えている背景には、創業以来の馬具づくりで培われた技術があります。 乗り手と馬を支える馬具に求められた強度や機能性へのこだわりは、現在のバッグや革製品にも受け継がれています。
丁寧な手仕事で仕立てられた製品は、修理を重ねながら長く使い続けられることも特徴です。 世代を超えて受け継げる堅牢さは、エルメスが大切にするものづくりの理念を象徴しています。
素材への徹底したこだわり
最高級のレザーや厳選された素材を世界各地から調達するのも、エルメスのものづくりの特徴です。トゴやエプソンをはじめとする多彩なレザーを製品ごとに使い分け、職人の手仕事で素材本来の表情を引き出しています。
厳しい基準を満たした素材だけが選ばれるため、生産できる数はおのずと限られます。購入後のメンテナンスや修理の体制も整えられ、選び抜いた素材を長く楽しめる点も魅力です。

現代のエルメス
現代のエルメスは、独立企業として世界有数のラグジュアリーメゾンの一つに数えられます。揺るぎないブランド価値を背景に、幅広い製品展開や職人技の継承、環境への配慮にも積極的に取り組んでいます。
現代のエルメスの主なポイントは、以下のとおりです。
- 世界有数のラグジュアリーブランド
- バッグだけでなく幅広い製品を展開
- サステナビリティや職人技の継承にも取り組む
世界有数のラグジュアリーブランド
エルメスは、大手ラグジュアリーグループに属さず、現在もエルメス家が経営に深く関わる独立系のラグジュアリーメゾンです。創業以来受け継がれる職人技や品質への徹底したこだわりにより、世界有数のラグジュアリーブランドとして確固たる地位を築いています。
欧州や北米、アジアなど世界各国に店舗を展開し、バッグやレザーグッズをはじめ、スカーフ、ジュエリー、時計、アパレルなど幅広い製品を通じて、多くの人々に支持されています。
バッグだけでなく幅広い製品を展開
エルメスは、バッグにとどまらず多彩なカテゴリーへと活動の幅を広げてきました。レザーグッズやスカーフ、ネクタイ、ジュエリー、時計に加え、アパレルやシューズ、食器やインテリアまで、その領域は生活全般に及びます。
幅広いものづくりは、複数のメチエ(製品部門)と呼ばれる体制によって支えられているとされています。各分野の熟練した職人技が結びつくことで、エルメスならではの世界観が生み出されているのです。
サステナビリティや職人技の継承にも取り組む
エルメスは、職人技の継承と環境への配慮の両面に力を注いでいます。2021年には研修機関「エコール・エルメス・デ・サヴォアフェール」を開設し、手縫いの技術を次世代へと伝えています。また、端材を再生する「プティアッシュ」や、菌糸由来のレザー開発などにも取り組んできました。
長く使える製品づくりと持続可能性を両立させる姿勢が、現代のエルメスを支えていると言えるでしょう。
